SINCE 2005/1/5
<ELF観測システムの解説>
2006/7/10 内容を現行のシステムに合わせるため一部修正
2006/11/25 ELF観測系の変更に合わせるため一部修正
2007/10/20 観測用PCの変更に伴い記述を一部修正
<システムの概要>
ネットの世界を含めてELF帯域に分類される観測システムについての具体的な解説を目にする
ことは少ない。書籍でもロシア製の計測器を使用した観測系の紹介はあるが、ほぼ写真と
ブロック図のみの説明であり、中身はブラックボックスに等しい。また、某所においても全国
に観測点を設けてデータ採取を行っているようであるが、その全貌はほとんど公開されてい
ない。データが示すところの結果についての社会的な影響については理解できるが、観測
システムを公開しないのは私には甚だ疑問である。
そこで、極めて粗雑で簡易的であるが、私の観測システムの解説を行いたいと思う。
システムは大きく次のブロックに分けられる。
<アンテナ〜ポストアンプ>
自宅の建物外周に8ターン巻いたループアンテナ(全長268m):これは屋外用100base-TX
ネットワークケーブル4ペアの中身をそれぞれ別の線として使用し、全体として8本の線の集合線
として取り扱い、8ターンのコイルとしている。このケーブルは
日立電線のHUTP5E 4P-LAPであり、
電線を取り扱う専門店(おそらくオヤイデ電気でも)
ならば入手可能と思われる。低い周波数をいかに効率よく受信するかは偏にアンテナの効率に
因るところが多く、アンテナ以降のアンプ
を高性能にしてもアンテナの性能を上回ることはできない。
アンテナはDIYショップ等で一般に「電工用」とか「クーラー配線用」として売られている
屋外用の配線ボックスに引き込んでおり、この中には直下型のアンプを収めている。
直下型アンプ:2SK125x3パラレル接続したデバイスを2ヶ使用した差動アンプがトップに入って
おり、そのバイアス電流は自作のノイズフィギュアメーターで最低に追い込んでいる。
もっとも、この周波数であれば、オーバーオールNFの善し悪しはデバイスよりもアンテナ等の
設置条件が支配的であり、気休めにしかすぎないことはわかっているが、回路屋としての定石
を行ったまでである。
アクティブフィルタ:上記のアンプの後段には大型インダクタを使用したアクティブフィルタを
3段挿入している。これらのデバイスもいずれも2SK125x2パラレル接続している。
なお、各デバイスをパラレル接続しているのは、大入力でも飽和しないようにする対策である。
専門用語ではIP3のレベルを高くしている、という。
このアンプからA/Dコンバーターまでは4C2QFVケーブルを使用している。衛星放送の普及で以前
から安価ではあったがそれなりの性能だった3C2Vよりもかなり性能が良いケーブルが安価で
しかも全国どこでも容易に入手できるようになったことは大変喜ばしい。
このケーブルは約5m引き回した後、ポストアンプに接続している。
ポストアンプ:直下型ほど大型ではないが、インダクタを使用したアクティブフィルタを2段
使用して、台湾IEI社製WAFER-6820に接続している。
入力には保護用のダイオードを挿入している。
PCは30秒毎に10秒間録音をしている。アナログ的なフィルタリングだけでは
ノイズを完全に防ぐことはできないので、FFTにより268〜288Hzの成分を抽出してからデータ
として記録している。
<制御用PCハードウェア>
台湾IEI社製WAFER-6820を使用している。
このような分野では当然のことであろうがLinuxで動かしている。
<制御用PCソフトウェア>
さて、ハードウェアの記述を終えたので次はソフトウェアである。
WEFER-6820を動かしているOSの仕様は次の通り。
OS:Debian GNU/Linux Etch カーネル:2.6.18 RAM disk:約60Mbyte確保。
ハードディスクは接続しておらず、システムはすべて1Gbyteのコンパクトフラッシュ
(CF)に格納している。起動時には/(ルート),/homeのみCFにマウントし、/var,/tmpはRAM
ディスク上にマウントしている。測定データはすべてRAMディスク上に書き込んでいる。
ログファイルも全て一旦/varに書き込んでおり、CFに直接書き込んではいない。
これらはすべてCFの書き込み寿命を考慮してのことである。RAMディスクは電源が無くなれば
当然すべて消失するので、約4時間稼働できるバックアップ電池を接続している。
各ディレクトリの大きさ(/etc/fstabの内容)は次のとおり、
デバイス名 | マウント名 | 設定サイズ(Mbyte) |
中身 |
/dev/hdc1 | / | 802M | システムファイル |
/deb/hdc2 | /home | 65M | スクリプト |
/dev/ram1 | swap | 20M | |
/dev/ram2 | /tmp | 7.8M | |
/dev/ram3 | /var | 22M | |
/dev/ram4 | /dmnt | 7.5M | 計測データ |
※スクリプトは録音制御(FFTを含む)、ADC-11を制御する為のperlスクリプトが殆どである。
<ELF制御用ソフトウェア>
ADC-11制御と比較して他人様のソフトウェアの比率が高いので、説明しておく。WAFER-6820の
ように低い能力のPCでFFT、データダンプなどを制限時間内に処理
できる優秀なソフトウェアを開発された先人の方々には感謝・感謝である。あなた方の
ソフトが無ければ私は何もすることができなかった。
先にも記述したがWAFER-6820は録音しているだけである。従って生成されるデータはwav形式の
ファイルである。これを次の手順でデータ化する。
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