SINCE 2000/2/3
< KT法検証の為のFM放送電波受信系に関する考察 >
2000/1/25 Ver.0.1 執筆着手
2005/1/9 一部修正
- 前置き
本考察においては地震前兆電波受信に最低限必要な事項について触れ、地震発生のメカニズム及びKT法
の理論的な裏付けについての記述も最小限に止める。また、本考察は八ヶ岳南麓天文台の串田嘉男氏
が公表されている記事、及び公になっている事実、中山トチロー(以下筆者と記す)が独自に実験
・検討した内容から成っている。随所に未確認の記録・伝聞・情報に基づく記述が含まれる可能性があ
ることに読者は注意されたい。筆者は、この考察を通じて読者に何らの保証を与えるものでもないし、
責任を負うこともない。全ては読者自らの判断に委ねられている。
しかし、一人でも多くの方が、この考察文を読んで行動を起こすことに期待したい。地震は大金を投じ
て大がかりな装置を設置すれば予測できるような生やさしい自然現象では無い。それは地球上に住み、
自然を注意深く観察できる能力を与えられた人が、知恵とそして可能な限りの大量の情報を集中させる
ことによってやっと輪郭が見えて来る巨大なジグソーパズルなので
ある。読者の方々の一つ一つのピースが全て揃って初めて全容がわかる可能性が生まれる。
筆者は、不十分ではあるが新しい試みからなるこの考察文を、あの神戸・淡路大震災を含む全ての地震
の犠牲者・被害者の方々に捧げたい。筆者は、否、我々は全能を尽くして悲劇を二度と起こさないよう
に努力することを誓う。
- KT法の概要
FM放送局の電波を指向性アンテナで受信し、その周波数シフト又はそれに代わる値(以下、単にデータ
と記す)を記録し、その値の変動によって、将来地震の発生が予測される地域及び時間、地震エネルギ
ー(マグニチュード)との関連を見つけようという方法である。
設備としてはFM放送電波が受信できる装置、サブロープが少ない指向性アンテナ、受信装置のデータを
常時記録するための記録装置が必要となる。
大地アースは必ずしも必要なく、むしろ観測に障害となる場合もある。しかし、同時にこれは、雷から
の影響を受けやすいことも意味する。
データとしてmVオーダーの微小レベルを扱うためにFM放送以外の高周波エネルギーが高レベルで存在す
る地域は観測には適していない。各種の放送局、携帯電話の中継局、電化された鉄道、高圧電線、通行
量の多い道路の周辺も同様の理由で適さない。しかし、これらのエネルギーによる影響と、目的とする
データを統計学等の手法により排除できる可能性まで否定するものではない。
- 震源の上空で何が起こっているのか(仮説)
以下に記すことは仮説であることを強調しておく。
- 将来震源になりうる場所の挙動
地震は地殻変動の一現象である。地中で何らかの変化が起こり、その結果として地面が震動する。変化
の速度や範囲、深度によって地表、海面に与える影響が異なる。火山活動も切り離せない現象であるが、
火山と地震の関係は未だ解明されていないことも多く、ここでは触れない。
地中で地震の前から地殻変動に依る何らかの物理的な現象が起きていると推測する。所謂直下型と言わ
れる地震についても、何の前触れもなく発生する割合の方が少ないのではないか。もとより大地は人の
目で見れば剛体であるが、マクロ的には流体である。しかし、その時間的なスケールは人が認識できる
時間よりも遙かに大きい。従って、海岸に打ち寄せる波のように大地が一瞬にして大規模な活動を起こ
すことが頻繁に起きるとは考えにくい。殆どの場合、局地的な(微少な)変動から始まると思われる。
岩石が物理的な圧力−プレートの動き、マグマの動き、地下水等、原因はいろいろ考えられるが−を受
けた場合、破壊限界を過ぎる時にクラック(ひび割れ)が発生する。クラック発生に伴って様々な
物理的なエネルギーが放出されていることは、実験によっても確認されている。しかし、それらの
全てが今の技術で捕らえられていると断言することはできない。未知のエネルギーが多数存在するとい
う考えを筆者は支持する。これらのエネルギーのうち、現在我々が捕捉可能なエネルギーが電磁波であ
る。但し、ここでいう電磁波は一般的な意味での”電波”という理解では定義が狭すぎる。一般的な意
味に於ける”光”(波長:Å、オングストローム)から、一般的な”電波”、”音”、圧力波(mHz、
ミリヘルツオーダー)までと理解していただきたい。但し、今、この考察で取り上げることが可能なの
は周波数がMHz、メガヘルツオーダーのいわゆる電波である。
将来震源となりうる場所から何らかのエネルギーが放出され、我々はその一部が
FM放送波の伝搬に与える影響を捉える、これがKT法の基本部分である。影響を受けることにより、通常
は捉えられないFM放送波又はその一部が捉えられる。しかし、影響を受けているのが電離層
であるという断定はできないと筆者は考える。筆者を始め多くの方が、電波伝搬に影響を与える要素が
電離層だけでないことを身を持って体験していることと思う。具体的には、大気の温度勾配不均一また
は急激な変化に伴う散乱層(スキャッター)、主に海面上の温度勾配逆転層によってできる(トンネル
状の?)ダクト、鋭いピークを持つ山の両側の特定の地域間に存在する回折伝搬、等の何れもFM放送電
波の伝搬に影響を与える可能性がある。原因がどれかひとつなのか、又は複合して伝搬異常が起きてい
るかは読者諸氏の研究を待ちたい。
- 将来震源になりうる場所の上で起きている現象
ここでは観察から導いた推定モデルの説明を行う。

FIG.1がそのモデルである。中心が震源であって、横軸が震源からの距離を示す。縦軸が震源における
観測対象FM放送電波の周波数偏移を0(周波数が0ではない!)とした時の、その周辺における
周波数偏移の値である。このモデルは2次元であるが、実際には震源において周波数偏移が窪んでいて
周辺に遠ざかるに連れて盛り上がる、”アリジゴクの巣”のようなイメージで考えていただきたい。
今までに観測されている現象として、震源方向にアンテナを向けた場合の観測データがコンデンサの
充放電波形(詳細は八ヶ岳南麓天文台 �
地震前兆電波観測研究センター掲載の説明文を参照されたい。)であるのに、震源よりアンテナ方向
を逸らすにつれて変動カーブのピークが次第に鈍り、広がるというデータがある。その傾きや、周波数�
偏移の値は地殻変動の大きさや発生している広さによって異なる。ここで注意していただきたいのは、
震源を中心として変化を受けるのは主に周波数偏移であって、電界強度やキャリア周波数に与えられる�
影響よりも遙かに大きいと考えられることである。
仮に震源から一定距離離れた地点の周波数が一定値ずれるのみならば、周波数偏移を振幅に変換するFM
チューナーのセンターメーターの指示値は一定の値を示すばかりで、振動波形(いわゆる基線)を記録
するとは考えにくい。
即ち、震源の上空及び周辺ではFM放送波に対して周波数領域に影響が現れるかのような現象を観
測していると推測する。
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- FM受信機に求められる性能
- キーポイントは周波数弁別回路
筆者がFM放送電波受信に取り組んだ当初は何らの成果もあげることができなかった。今の時点でいえるの
は、現在実用的にFMないしはPM変調及びその応用による変調がかけられた電波を復調する際には全て位相
変化、又はその積分値を再生することに主点が置かれた回路が用いられており、そのような回路では地震�
前兆を�FM電波で捕らえることは困難であるということである。実際の名称で述べると、クォドラチャ�
回路、PLL復調回路、等がある。これらの回路は調整がほぼ不要であり、放送または通信手段に使用する
限りにおいては問題点は少ない。しかし、地震前兆電波の捕捉では使用困難である。
現時点で筆者が実際に実際に地震前兆と考えられる電波を捉えている回路は
ワイズ検波回路のみである。これは位相成分では無く、周波数成分
を振幅に変換する回路である。そして、この理論が正しければ、フォスタシーレー、レシオ
回路でも同様の結果が得られるはずである。本考察の読者の方々による追試を待ちたい。
- ワイズ検波回路
ワイズ検波回路は、コイル周辺の構成が簡単になることから若干の諸特性が劣ることを承知の上で多く
使用されてきた。FIG.2にワイズ検波回路の一例を示す。
この回路の定数は20年以上前に
使用されたT社製の、ある公衆用ナローバンドFM受信機の定数である。回路図中のT81,T91は当時の回路�
図中に使用されているリファレンスである。この2つのコイルは一般的な455KHzにチューニングされた
コイルであって、何ら特殊な構造ではない。T91のタップも極く当たり前のセンタータップである。良�
く知られたことであるが、コイルにタップを設けることなくFIG.3のように同じ容量のコンデンサを2個
使用することで、電気的にセンタータップと同様の動作をさせることもできる。

FIG.4は実際に筆者が使用しているワイズ回路のSカーブ特性の実測データである。見ての通り、中心周
波数である455KHzの上下での対称性は良くない。しかし、このことは実際の観測には何らの支障も来し
ていない。敢えて言うならば、もっとコイルのQを高くとり、ダイオードの特性を揃えることで、455KHz
付近でのSカーブの傾斜・直線性を改良したいと考えている。
ダイオードには一般的なシリコンスイッチングダイオードで十分使用可能であるが、より少ない電荷で
動作するショットキーバリアーダイオードが入手できればより好ましい結果が得られるだろう。
スレッショルドレベルが低いゲルマニウムダイオードも利点が多いが、昔製造された製品で、現在市場
に出回っているジャンク品は既に性能劣化を来している(内部の半導体が酸化している)ものがあるた
めに注意が必要である。最近、米国の一部のメーカーが、昔より格段に優れたプロセスでゲルマニウム
ダイオードの生産を再び行っているので、入手の機会がある方は是非使用して実験してみていただきた
い。

- 455KHz IF出力の取り出し
一般論より記述する。現在主に用いられているFM受信機ではクォドラチャ検波回路を含めてほとんどIC�
化されておりおり、いわゆるラジオの類では受信段トップのRFアンプからAFアンプ(スピーカーアンプ)
まで取り込まれている。クォドラチャ検波回路は以前は455KHzのIFアンプ出力として一旦ICの外に取り出
され、小容量コンデンサによってIC内部の検波回路入力端子に接続されていたが、最近のICではIF出力と
内部で直接接続されている例が多い。従って、この455KHzのIF入力にFIG.2の回路図における”入力”を
接続すれば良い。幸いにも455KHz IF出力が外に出ていれば十分に増幅された信号を検波回路に入力でき�
るが、IF入力から455KHzの信号を取り出した場合、検波回路の前に455KHzのアンプを追加する必要がある
かもしれない。なお、FIG.2では2700PFのカップリングコンデンサを付けているが概ね数100PF以上の
セラミックコンデンサであれば動作する。以上の説明を図で表したのがFIG.5である。

次に良く用いられている数種類のICについて、455KHzのIF出力取り出しポイントを説明する。ここで取り
上げないICについても基本構造はほとんど同じ(誤解を恐れずに言えばモトローラ社のMC3357の構成と同
じかその発展系)であるので、読者は手持ちの設備を活用して取り出しポイントを探して欲しい。どう�
してもわからない場合は筆者あて、図面添付の上、
メールで質問していただきたい。
(※2005年1月追記
残念なことであるが、ここで紹介したICは殆ど保守扱い・製造中止となっており、ラジオ用ICは
更に集積度が上がっている。それらのICについても機会を見つけて紹介したい。しかし一般の方が
入手することはかなり困難であろう。)
- MC3357 ナローバンドFM受信ICの基本となったモトローラ社のIC。オリジナルは現在生産
されていないが複数のメーカーよりセカンドソースが出ており、全く異なる名前でも実は中身は同じと
いうことも多い。MC3361,MC3362,MC3363に関しては 455KHzのIF出力とクォドラチャ検波回路がIC内部
で10PFにて結合されており、455KHzIFアンプ出力を外に取り出すことはできない。これらのICについて
は2ndIF出力の取り出し点を示すが、MC3357と比較してIFアンプの前段より信号を取り出しており、レ
ベルが小さいことについて十分検討する必要がある。MC3361以下各IC
周辺の図面は本文と別のところに配置している。
- MC3361 IC周辺の図面。
- MC3362 IC周辺の図面。
- TA7614 AM/FMラジオ用ICとして大量に生産された東芝製IC。日立よりHA12402の名前でピン
コンパチのセカンドソース?も出ていた。スピーカーアンプまで内蔵している。ナローバンドFM用と
して量産に使用された例は極めて少ない。IC周辺の図面。
- TA7792 東芝製AM/FMラジオ用IC。1.5V動作が可能。IC周辺
の図面。
- TA8100 東芝製AM/FMラジオ用IC。スピーカーアンプを内蔵している。
IC周辺の図面。
- TA8122 東芝製AM/FMラジオ用IC。ステレオ復調用マルチプレクサを内蔵している。
IC周辺の図面。
- CXA1002 ソニー製ナローバンドFM受信機用のごく初期のIC。FM受信機というよりも、もっ
ぱら携帯電話の受信部に使用されていた。
IC周辺の図面。
- CXA1019AM/AS ソニー製AM/FMラジオ用IC。スピーカーアンプを内蔵している。
パッケージによりピン数、割り当てが異なるので注意。SOP
パッケージ品周辺の図面。
SSOPパッケージ品周辺の図面。
- CXA1619BM/BS ソニー製AM/FMラジオ用IC。スピーカーアンプを内蔵している。�
パッケージによりピン数、割り当てが異なるので注意。
SOPパッケージ品周辺の図面。
SSOPパッケージ品周辺の図面。
- 受信局と受信周波数の設定
基本的には受信地点と観測対象地域の中心を結ぶ線上に存在するFM放送局を受信対象の候補にする。
しかし受信地点から近い場所(見通し距離では概ね100〜150km、山岳地帯ではさらに近くても良い場
合もある)に、候補となるFM放送局の送信周波数±3〜5MHz(これは一般の広帯域FM受信機の場合、
ナローバンド受信機であれば更に周波数が近くても良い場合もある)近傍に別のFM放送局がある時は
観測に支障を来すことがある。
しかし、上記の条件は絶対ではない。受信対象FM放送局が受信地点と観測対象地域の中心を結ぶ線上から
離れた場合でも、受信波形は変化するが前兆である変動を捉えることができる。即ち、受信対象FM放送局
が受信地点と観測対象地域の中心を結ぶ線上で鋭角な充放電波形になるような場合、前兆の中心とす
る円からFM放送局が離れるに従って次第に波形が鈍るような現象が報告されている。距離が大きくな�
ると波形のピークが次第に下がり、やがて観測不可能となる。�
詳細は八ヶ岳南麓天文台 地震前兆電波
観測研究センター掲載の説明文を参照されたい。)これを図で説明したのがFIG.6である。

従って一般的に次のような順序で受信対象局を選定することを勧める。
(1)受信地点と観測対象地域の中心を直線で結ぶ。
(2)観測対象地域で中心に近く、出力が大きなFM放送局(A群とする)を選定する。
(3)受信地点に近いFM放送局(B群とする)の周波数を全てリストアップする。距離が近い場合はローカル
中継局(概ね出力100W以下)も含める。但し、中継局のサービスエリアが盆地など明らかに指向性を
持っていると考えられる場合は除いても良い。正確を期す為には該放送局に問い合わせる。
(4)A群の放送局の周波数を調べ、B群の周波数に近い放送局を候補から外す。
(5)残ったA群からTV放送周波数(1chがある地域では90MHz〜、2ch以上の場合には影響はほとんど考慮す
る必要なし)よりなるべく離れた周波数の局を選ぶ(C群とする)。
(6)C群から出力が最も大きな局を選び、受信対象局とする。
(7)受信対象局の周波数±100KHz〜±300KHzの周波数を受信周波数とする。この範囲の中でどの
周波数を使うかは実際に暫く受信観測を行って決定する。現在、受信対象局のキャリア周波数よりも
シフトした周波数を受信した場合の方が良い結果が得られている。
なお、一般的なFMチューナーとナローバンドFM受信機(主たる受信対象局の最大周波数偏移が概ね5KHz
以下)で、(7)に記した最適な周波数シフト幅は変わる筈であるが、確定したデータの蓄積は未だ無い。
- アンテナに求められる性能
八ヶ岳南麓天文台のアンテナは白樺(?)林の中で全て鉛直方向、つまり天空に向かって設置されている。
KT法のきっかけとなったのは電波による流星観測であるが、果たしてアンテナを鉛直に向ける積極的な理
由が何であるか、筆者は掴みかねている。八木・宇田アンテナ及びその改良系のアンテナは非接地型であ
り、大地の影響を強く受ける。また、理想的な自由空間中で、八木・宇田アンテナはエレメントの上下方
向に対し指向性は対称になる。しかし、現実にはそのような環境はあり得ない。従って、アンテナに関し
ては理想条件における最適設計を行った後の調整が性能に大きく影響する。KT法に関する論文を読んだ当
初、アンテナ系に関する係数設定に関して筆者はかなり疑問を抱いた。しかし、そこから得られた観測結
果はその疑問点以上に明確な方向性を示しており、アンテナの諸特性に関する限り、設置条件はそれほど
影響を及ぼしていないようにも思える。しかし、アンテナの特性は受信系全てに影響を与えるために、無
視することはできない。
アンテナの特性要素は大きく3つに分けられる。指向性、ゲイン、電気的特性である。そして全てのアン
テナにおいてこの3要素は密接に関係している。3要素を同時に最良の状態に設計することは不可能であ
る。必ずどれかを優先するか犠牲にするかの選択をせねばならない。それはアンテナを如何なる目的に使
用するかによって決められる場合が多い。そして本事案の場合、アンテナは受信専用であること、特定の
方向以外からのエネルギーを可能な限り排除したいことが求められていることから、指向性(実際の場合
には設置状態におけるハイトパターン)を優先して設計を進めるのが良いと筆者は考える。すると、アン
テナを鉛直上方に向けることが最良な条件であるとは言い切れない。まだ改善の余地があるように思う。
ここでアンテナの設計論議に進むのはあまりに専門的になりすぎる。従って、こうすればより良い状態に
なるのではないかというヒントを記述するに留めたい。
- アンテナの指向性のイメージ
八木・宇田アンテナに限らず、全てのアンテナの指向性はコンニャクのようなものとイメージしていただ
きたい。即ち、理想条件での指向性パターンを現実化すると、指向性は周囲の影響によりアンテナの周囲
に張り付いたコンニャクのように振る舞う。つまり理想の自由空間中に設置されていない限り、設置条件
を変えてもアンテナの指向性が劇的に変化することは少ない。但し、接地型アンテナ(グラウンドを1/4λ
以下の間隔で密に設置した場合)ループ系アンテナ(キュビカルクワッドなど)、一部の高調波タイプの
アンテナ(ロンビックアンテナなど)は例外である。例えばある条件で半値角45度、メインローブの打ち
上げ角45度のアンテナを地表から数λ離しても、その特性はコンニャクの如く滑らかに変化はするが、理
想状態になることは無い。
極論すれば日本のように住宅事情が悪い環境では他でシステム全体の特性を稼いだ方が得策な場合も多い
ということになる
しかし、それでもアンテナで受けた以上の信号はアンテナ以降にいくら優れた電子回路を接続しても決し
て復活しないし、何よりも電波が飛来する空間と電子回路のインターフェースであることを忘れてはいけ
ない。アンテナは未だに完全なシミュレーションが完成されてるとは言えず、また機械工作の精度により
如何様にも性能が変化するため、一種哲学的な理論に入り込みそうなので、詳細は読者の独学に期待した
い。
- アンテナ設置の方法
良く使用される代表的なアンテナについてのみ触れる。
- 八木・宇田アンテナ
一般的にTV受信用として広く使われている。応用として各エレメントの位相を人為的にシフトさせること
により、利得・アンテナ指向性パターンの向上を図った位相制御アンテナが数種類あるが、設置の方法
は同じである。
(1)他の金属からなるべく離すこと。最低限でも1/4λ(FM放送周波数で1m〜83cm)は離すこと。他の金属
が近いと、その方向に指向性がアンバランスに出る原因となり、不要な電波やノイズを拾う原因となる。
また、アンテナそのものの特性(SWR特性、ゲイン)にも悪影響を及ぼす。

(2)地上またはそれに代わる平面より最低限でも1/4λは離すこと。但し、KT法では基本的にアンテナを
鉛直上方に向けているので、通常地面と水平に設置されるよりは影響は少ない。・・・アンテナを鉛直
上方に向けることの妥当性については本章では触れない。
(3)アンテナはFIG.7のように理想条件でアンテナパターンが滑らかな楕円を描き、アンテナの前後に於
けるゲイン差(これをFB比・・・フロント/バック比という)がある一定値の場合でも実際に設置でき
る状況では必ず指向性の乱れ・FB比の低下が起きる。(FIG.7参照)この乱れた部分のパターンをサイド
ローブと呼ぶ。アンテナの指向性パターンは当然3次元であるから、垂直、水平またその中間にも3次元
でサイドローブも存在する。3次元であるために、その特性を実際に正確に測定することは極めて難しい。
そのため、以前より各種のアンテナシミュレータソフトが開発されてきたが、PCの高速化に伴い、最近
ようやく実用的な速度で実行が可能になってきたので、次章で紹介する。
- スモールループアンテナ

普通のアンテナが電界受信タイプであるのに対して、このアンテナは磁界受信タイプである。受信用な
がら極めて小型にできるので、最近製作記事を良く見かける。物理的に超小型・超ハイゲインという
アンテナは存在しないが、 このアンテナは帯域が極めて狭い(中心周波数の±0.5%位、God!何てこった
い、というほど狭い!!)、周囲の影響を受けやすい、という欠点を除けば、理想に近い魅力的な
アンテナである。但し当然のことであるがダイポール比ゲインなどは無い。-数dBd程度である。
しかし、この形状でこの動作は魅力がある。詳細は読者で調べて欲しい。
このアンテナはループ状であるために、アンテナ上方からみた指向性パターンは8の字になる。(fig.8
参照)即ち、8の字のどちらから入感しているかは分からないことになる。従って、本稿のように電波
が到来する方向を特定したい場合には同じ仕様で作り、同じ条件で2つのアンテナを互いに90度向きを
ずらして設置して、その出力を比較することで、方向を特定することになる。なお、このアンテナは
扱う周波数が低くなるほどその優位性が増す。波長に対して形状が非常にコンパクトにできることと、
帯域が狭い欠点が逆に帯域外の不要電磁波エネルギーの侵入を防ぐ利点になることである。
- アンテナシミュレータの利用
先にアンテナの特性は良くわからないことが多いと記述したが、以前はスーパーコンピュータ(この言葉
も死語になった感があるが)でしか実用的な時間で実行できなかった、モーメント法によるアンテナ系
のシュミレーションが、極く普通のPCにもコプロセッサが実装されるような環境になり、PC上でも実行
可能になった。ここでは、筆者が実際にフィー(このソフトの場合は寄付扱いだが)を払って使用して
いる"MMPC_WIN"という、優秀なアンテナ特性解析プログラム(シェアウェア)を紹介したい。これは、
ワイヤーアンテナ(直線の導体で構成されアンテナ)の特性解析プログラムで、最近のアンテナ内蔵携帯
電話に使用されているような誘電体によって形成された固体アンテナ・2次元のアンテナは対象としてい�
ない。このソフトを開発されたJA1MXB 松田OMのWeb
より入手できる。このソフトを使えば普通に使うアンテナはほとんどシミュレーション可能である。
その他、ゲイン優先・アンテナパターン優先など、各使用者の目的に応じた設計の修正も可能である。
また、3次元のアンテナパターン表示、ゲイン計算、大地の影響の度合いの推測など、様々な機能がある。
ソフトの詳しい紹介はWebを参照されたい。なお、他にも優秀なシミュレーションソフトが多数発表され
ている。
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信号記録の方法
受信するだけではデータはその瞬間に失われる。時間的な変動・統計的な解析を行うためには何らかの記
録をすることが必要となる。それも24時間連続記録可能で無ければ意味が無い。更に、実際に地震が発生�
して、電気の供給が止まっても稼働できる仕組みになっていれば、余震への備えにもなり、より望まし
い。
- ペンレコーダーによる記録
八ヶ岳南麓天文台においては記録手段としてほとんどペンレコーダーが使用されている。秋田観測点にお
いてはA/D変換ボードが使用されているが、信号源はあくまでFM受信機のセンターメーター出力である。
公開されている基線図を見る限りは測定系がペンレコーダーのサーボ系特性に依存している部分があるの
ではないかと推測される。
手元にあるかなり旧式であるが******社製ペンレコーダーの特性を測定してみる。fig.9のようにペン
レコーダーとCRオシレータ(松下通信工業製******)を接続し、入力周波数とペンレコーダーの記録の
関係を調べてみる。fig.10は周波数別に記録された波形を示したグラフである。これからわかるように
****Hz以上ではペンレコーダーは反応せず、また、****Hz以下では基線とは全く異なる波形を描いている
ことがわかる。このことから基線が描かれている時には入力信号に細かい周波数変動が起きていることが
推測される。この波形を離散系で再現する、即ちA/D変換で記録するためにはかなり細かいサンプリング
周期が要求されることが容易にわかる。この基線を粗くサンプリングして、スムージング処理を掛けて�
しまうと�DCシフトに見えてしまう。そのままであれば細かいひげ状の波形が出力されるだけでノイズ�
との区別は困難になる。従って、サンプリングを細かくできない(データ量がすぐに天文学的数字に
なる)場合は何らかの対策が必要となる。詳細は次章に記述する。
- 秋月電子のデータロガーキットによる記録
- その他の電子記録
以降、執筆中。一部図面が表示されなかったり、同じ図面が表示される箇所があります。ご了承下
さい。
KT法の難点と対策
- 観測地点近傍が震源である
- スポラディックE層が発生し、地表からの影響がうち消されている
- 断層型地震であって、断層の長さがごく小規模である
- 深々度に震源がある地震
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今後の展望
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まとめ
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